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長崎家庭裁判所 平成4年(家)379号 審判 1992年7月02日

申立人 高崎保

本件戸籍の表示(中略)筆頭者 高崎保戸籍

関連戸籍の表示

(1) 本籍(中略)戸主 高崎弥五郎戸籍(改製原戸籍)

(2) 本籍(中略)筆頭者 高崎雅典戸籍

(3) 本籍(中略)筆頭者 高崎源次郎戸籍(除籍)

主文

錯誤につき

次のとおり各戸籍の記載を訂正することを許可する。

1.上記関連戸籍(1)の孫保につき、その身分事項欄中出生事項の届出人の資格「父」とあるのを「同居者」と訂正し、除籍事項を消除し、父欄中父の名「高崎雅典」とあるのを「高崎源次郎」と、母欄中母の名「ヨシミ」とあるのを「サトコ」と、父母との続柄欄中「長男」とあるのを「三男」とそれぞれ訂正する。

2.上記関連戸籍(2)の長男保につき、その身分事項欄中出生事項の届出人の資格「父」とあるのを「同居者」と訂正し、入籍事項を消除し、父欄中父の名、母欄中母の名、父母との続柄欄の各記載につき上記と同一の訂正をしたうえ、関連戸籍(3)に移記して消除する。

3.本件戸籍の夫保につき、その身分事項欄中の出生事項に上記と同一の訂正をし、婚姻事項に「高崎雅典戸籍から入籍」とあるのを「高崎源次郎戸籍から入籍」と訂正し、父欄中父の名、母欄中母の名、父母との続柄欄の各記載につき上記と同一の訂正をする。

4.上記に関連する必要な訂正をする。

理由

第1申立の要旨

申立人は、主文と同旨の審判を求める旨申し立てた。

第2当裁判所の判断

本件記録及び関連事件(当庁平成×年(家イ)第×××号第×××号)記録によれば、次のとおり認められる。

(1)  申立人高崎保は、上記関連戸籍(1)の四男高崎源次郎、妻サトコ間の三男として出生したものであるが、実父の実兄である同戸籍の三男高崎雅典、妻ヨシミ夫婦に子がなかったことから、同居者高崎雅典が、妻ヨシミとの間の長男として、虚偽の出生届出をなし、以後申立人は同夫婦に養育されて成人した。しかし、この結果、戸籍に錯誤のある記載がなされているものである。

(2)  そして、上記の事実は、源次郎、サトコ夫婦、雅典、ヨシミ夫婦はもとより、雅典、ヨシミ夫婦の養女となっている大下良子及び源次郎、サトコ夫婦の他の兄弟、姉妹間においても、周知の事柄であって、関係人間において全く争いのないところである。

以上のとおり認められる。

上記のとおり虚偽の出生届出により戸籍に錯誤のある記載がなされ、かつ、この錯誤は、親子関係という重大な身分関係にかかわるものである。このように、重大な身分関係にかかわる事項につき戸籍の記載に錯誤のある場合においても、その真実の身分関係が関係当事者間において周知の事柄であって全く争いのないときは、殊更、その真実の身分関係について確定裁判を経るまでもなく、直ちに戸籍法113条にしたがい戸籍の記載の訂正をなしうるものと解するのが相当である。

以上のとおりであるから、本件申立を相当と認め、主文のとおり審判する。

(家事審判官 金澤英一)

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